有酸素運動とは?

有酸素運動とは?

有酸素運動とは、酸素と脂肪と糖類を消費してエネルギーを作り、体を動かす運動のことです。
また「身体にある程度以上の負荷をかけながら、ある程度長い間継続して行う運動」はすべて有酸素運動とみなすことができます。

日常動作のほぼ全ての運動は有酸素運動と考えても良いと思います。
ここではダイエット視点からみた「有酸素運動」を考えていきます。

 

有酸素運動はダイエットに良いの?

有酸素運動は体内の脂肪を消費してエネルギーにします。
脂肪を落とすためのダイエットであれば、脂肪を消費する有酸素運動は効果的です。

 

なぜ有酸素運動と呼ばれるの?

有酸素運動では、前述のように体内の糖質脂肪酸素とともに消費されます。
そして有酸素運動はエネルギーを生み出す時に「好気性代謝」を使います。
好気性代謝を行うためには「酸素」必ず必要です。
なので「酸素」が有るときに行うことができる「運動」なので、「有酸素運動」と呼ばれます。

これに対して「酸素」がない状態で行う「運動」を「無酸素運動」と呼びます。
酸素の有無でエネルギーを作る時に異なる代謝経路を使います。

好気性代謝とは

有酸素運動の重要なキーワードに「好気性代謝」があります。
漢字だけを見ると、とても小難しそうですね・・・。
しかし、概要だけでも知っておくととても便利です。

例えば、「20分以上運動をしないと脂肪燃焼されない」などはまことしやかに語られていますが、真実はどうなのでしょうか?
好気性代謝の概要を知れば、おのずと答えが出ますよ。

少し難しいことを書きますが、頑張って読んでくださいね。

好気性代謝とは、グリコーゲン、グルコース、乳酸あるいは脂肪からアセチルCoAが生成し、ミトコンドリア内でアセチルCoAが酸素を消費する反応を含んだ化学反応を経てグルコース1分子あたり38分子のATPが生成されてエネルギーを発生させる一連の化学反応です。
好気性代謝は安静時でも運動をしていても、体内に酸素がある限り活動していると考えられています。これは寝転がっていても、家事をしていても、テレビを見ていても必ず行われます。
なぜなら、心臓や肺・その他の臓器を動かすのに必ずATPと言うエネルギーが常に必要だからです。

そして運動を行うと、その運動負荷が上がるにつれて好気性代謝がより活発に行われて酸素の消費量も多くなります。
その時、人は呼吸を速く大きくして酸素の摂取量を増やします。
大きな呼吸を行い多くの酸素を取り込みながら運動を行うと、より脂肪を多く消費できます。

逆に少しの間でも体を動かせば、酸素の取り込みも大きくなり脂肪の消費もそれに合わせて大きくなります。
これはリアルタイムで消費されます。

どのような運動でも運動直後から好気性代謝は活発になり、酸素・脂肪・糖質を消費します。
血中の脂肪酸を使い切るまで内臓脂肪や皮下脂肪が使われないと言う人も居ますが、血中の脂肪酸の濃度が落ちてくると内臓脂肪や皮下脂肪から脂肪が分解され血中に送られます。
結果、食事から4時間~6時間程度経ち、食事から直接脂肪酸補給が行われない時間帯であれば、体内の脂肪が使われることになります。

好気性代謝の限界

しかし、肺で酸素の取り入れるにも限界があります。
激しい運動を行うために大量のエネルギーが必要となっても酸素不足で好気性代謝では必要なエネルギーの全てを作り出せなくなります。
酸素不足になる限界一歩手前が一番脂肪を消費できる状態とも言えます。

この酸素不足に陥ると「無酸素運動・嫌気性代謝」に入ることになります。

この酸素不足に陥る運動強度には個人差は見られるものの、どんな人でも運動強度を上げ続ければいずれ限界に達し酸素不足になります。
このような嫌気性代謝が必要になる運動強度の値を嫌気性代謝閾値と呼びます。
嫌気性代謝閾値は運動能力の指標の一つとされています。

 

ダイエットに良い有酸素運動とは

有酸素運動でも無酸素運動でも、体内のエネルギーを使うので、ゴロゴロしているよりは確実にダイエットになります。

ただし無酸素運動は運動時間がどうしても短くなります。
短時間で一気にエネルギーを消費しても、地道でも長い間運動が出来る有酸素運動のエネルギー消費よりも、消費が少なくなってしまいます。

なので、長い時間運動ができる有酸素運動の方がダイエットに向いています。

先ほど、「酸素不足になる限界一歩手前が一番脂肪を消費できる状態とも言えます」と書きました。
ダイエットに一番効率良い有酸素運動とは、その状態です。

効率よく脂肪を燃焼させるには適度な運動強度で行うことが必要です。
ですが、限界一歩手前は相当にきつい運動になります。

きつい運動が続くと、
・精神的にもつらく長い期間続けられない
・運動強度が高いため、身体にかかる負荷も大きく怪我をしやすくなる
・他の人と運動強度が異なるため、一緒に行うことが難しい
・などなど

ダイエットに良い有酸素運動とは、「効率の良い運動」ではなく、「時間いっぱい楽しく体を動かせる限界の運動」ではないでしょうか?
長い時間・長い期間・楽しく継続できることだと考えます。

 

以上、ダイエットから見た「有酸素運動とは」でした。

脂肪が燃えるとは?

脂肪が燃えるとは?

ダイエットネタのテレビ番組や雑誌の特集、友人との会話でよく出てくる「脂肪を燃やして減らしましょう」と言うフレーズ、なんとなく知っているのですが具体的にどういうことなのか調べてみました。
脂肪が減る仕組みを知ればダイエットの助けになりますし、間違ったダイエットを行うことも少なくなるはず。
より良いダイエットをしましょう。

 

脂肪ってなに?

だいたいのことは皆さんもご存知の通りです。

少しだけ確認します。

脂肪は脂肪細胞の中に貯えられた中性脂肪のことで、不要な物ではなく人が生きていくため必須なものです。決して邪魔なお荷物ではありません。

脂肪細胞には「白色脂肪細胞(単胞性脂肪細胞)」と「褐色脂肪細胞(多胞性脂肪細胞)」の二種類があり、それぞれ違う働きを担っています。

白色脂肪細胞

白色脂肪細胞は、食事で消化・吸収され、体内で過剰となった糖や中性脂肪を細胞内の脂肪滴の中に中性脂肪として貯えます。
皮下や内臓の周囲に多く存在しています。

妊娠末期の三か月(胎児期)、乳幼児期・思春期に集中して増殖すると考えられており、一度作られると減少をほとんどしないと考えられています。
最近の研究で、成人でも細胞の肥大に伴う細胞分裂を行いさらに、脂肪を取り込めることがわかってきました。

 

褐色脂肪細胞

褐色脂肪細胞は、運動を行わなくても脂肪を燃やしてエネルギーを消費し、熱を発生させることができます。
冬眠中のクマなどにはこの褐色脂肪細胞が多く存在することが確認されています。

褐色脂肪細胞は乳幼児時期に多く存在しますが、骨格筋の発達に伴い熱を発生させる必要が無くなると一部を残して減少していきます。
成人では、首回り、肩甲骨付近、腎臓の周り、胸部大動脈周辺に少量存在しています。

褐色脂肪細胞は熱を発生させる機能を持っているため、細胞内に鉄(赤褐色)を含んでいるミトコンドリアが多く存在しています。
このミトコンドリアに存在するUCP(熱産生タンパク質)が自身の脂肪酸や白色脂肪細胞から分離された脂肪酸を取り込み、熱を発生させます。

 

脂肪が燃えるってどういうこと?

脂肪が燃えるってどういうこと?・・・不思議に思ったこと、有りませんか?
体の中で脂肪に火がついて燃える?・・・訳でもないですよね。

脂肪はエネルギーとして利用される前に、まず分解され、その後糖に変えられます。
糖に変わった脂肪はさらにクエン酸などに変えられ、体内の各細胞のTCA回路(クエン酸回路)に送られ始めてエネルギーになります。

この一連の流れが、「ガソリン→エネルギー」=「脂肪→エネルギー」と言うイメージを連想させあえて「脂肪燃焼」と呼ばれていると思います。

ジョギングに出かける前に、「よし!脂肪を分解するぞ!」よりも「よし!脂肪を燃やし尽くすぞ!」の方がモチベーション上がりますしね。

 

脂肪を効率的に燃やすには?

ですが、「摂取カロリー」>「消費カロリー」の場合、自然に任せていては肥満になります。
そこで運動を行うことになるのですが、ここでは効率的に燃やすことを考えていきます。

 

脂肪はいつも燃えている

脂肪は何もしなくても実は体の中でほぼ常に燃えています。
逆に言えば、燃やさずにいられないのが現実です。

無酸素運動時でも呼吸をしている限り、脂肪は燃えています。

 

どのタイミングでどこの脂肪が燃える?

何もせず安静にしている時、臓器を動かすために意図しない運動を行っています。
これがいわゆる基礎代謝のなるのですが、この時は、血中の中性脂肪を使います。

食事後4時間~6時間は食事で摂取した脂肪により、血中の中性脂肪は濃度が上昇し、脂肪細胞に吸収されます。

食事の間などで血中の中性脂肪濃度が下がった場合は、脂肪細胞から放出されます。
内臓脂肪と皮下脂肪なら余分な内臓脂肪が先に使われる傾向が強いようです。

軽い運動(脂肪燃焼運動)

息がほとんど切れない程度の軽運動時は、脂肪と糖は半々で使われるようです。
有酸素代謝(好気的代謝)によってエネルギーが作られます。
ただし消費カロリーも少ないため、消費される脂肪も少ないです。

中くらいの運動(有酸素運動)

少し息が切れる程度の運動の場合も、脂肪と糖は半々で使われるようです。
有酸素運動時も有酸素代謝(好気的代謝)によってエネルギーが作られるため、エネルギーを作り出すための資源は脂肪燃焼運動と同じです。
強度が上がるにつれて無酸素運動になっていくため、糖を使う量が増えていきます。

強い運動(無酸素運動時)

体を激しく動かすためのエネルギーは嫌気性代謝(リン酸系-CP系、解糖系‐乳酸系)で得ます。
ですがその間も酸素が有れば有酸素代謝(好気的代謝)によってエネルギーは作られます。
しかし、純粋な無酸素運動は短時間であるため、消費される脂肪はかなり少ないと言えます。

 

効果的に燃やすには

理論的には、無酸素運動に入る直前の負荷で長時間の運動を行うことが一番効率よく脂肪を消費できます。
これは実践するにはとても難しく、基礎体力も相当に必要になります。

運動強度にMetsと言うものがあります。
そのMetsで使用されるカロリー消費の計算は、「1.05×Mets×体重×時間」となっています。
このことは、以下のことを示しています。

「運動強度2で4時間ウォーキング」=「運動強度4で2時間ウォーキング」

効果的に脂肪を消費したいのなら運動強度を上げ、時間を半分にすることが良いのですが、その運動強度を維持できる体力がない場合は、運動を軽めにしてより長時間行うことで同じ脂肪を消費できます。

以上のことから。自分の使用できる時間ぎりぎりいっぱいの間、運動できる強度で運動を行うのが最も効果的に脂肪を燃焼させるコツになります。

脂肪の消化・吸収

脂肪の消化・吸収

脂肪の消化・吸収について、少し説明します。

脂肪の多い食べ物はお腹の減り具合がゆっくり感じませんか?
それは、脂肪の多い食品が糖質やタンパク質が主体の食品に比べ、消化の始まりが遅く、吸収に時間がかるためです。

脂肪の消化・分解

食品に含まれる脂肪の多くは、化学的に安定した中性脂肪の形をしています。
体内に入ると中性脂肪は十二指腸で胆汁により乳化されます。
次に膵臓からの消化酵素リパーゼの働きで、脂肪酸を一つつけたままのモノグリセリドと脂肪酸、グリセロールなどに分解されます。

脂肪の吸収

水に溶けやすいグリセロールはそのまま小腸上皮細胞から吸収されます。

モノグリセリドと脂肪酸は更に続きます。
モノグリセリドと脂肪酸は腸内に分泌された胆汁酸の働きによりミセルという親水性の非常に小さい分子に取り込まれ腸管から吸収されます。

乳化物として小腸上皮細胞に入ったモノグリセリドと脂肪酸は、今度はタンパク質と結合し、カイロミクロンという大きなリポタンパク質を作ります。
カイロミクロンはリンパ管から吸収されリンパの流れにのり、腹部、胸部、さらに左頸部下から鎖骨下静脈、心臓を巡って動脈に移り全身へ運ばれます。

炭素の鎖が10個以下の短い脂肪酸は、ブドウ糖やアミノ酸と一緒に門脈経由で肝臓に向かいますが、脂肪成分の多くはリンパ経由の道のりをたどります。

 

この時間は、食後3、4時間です。
脂肪が吸収されるには、いくつかのステップが必要なのです。

脂肪

脂肪

ダイエットの観点から見た脂肪を説明します。

人が蓄える脂肪とは

まず、脂肪のカロリーは9kcal/gであり、炭水化物、タンパク質の4kcal/gよりも単位重量あたりの熱量が大きく貯めこむのにコンパクトに済み便利です。

食物から直接摂取した脂肪も、体内で炭水化物から合成された脂肪も、肝臓や脂肪組織に貯蔵されます。

肝臓や脂肪組織には、脂肪細胞が有りそこに中性脂肪として貯めこみます。

脂肪細胞

脂肪細胞は、細胞内に「脂肪滴」という中性脂肪を貯蓄する袋を持ち、単胞性脂肪細胞(白色脂肪細胞)と多胞性脂肪細胞(褐色脂肪細胞)とに分類されます。

単胞性脂肪細胞は、体内に約250-300億個存在すると言われ、脂肪の吸収に特化した細胞です。
多胞性脂肪細胞は、首や肩甲骨のまわりなど、体のごく一部にしかありません。また褐色脂肪細胞は乳幼児に比較的多いものの、成長するにつれて少なくなるとされています。

脂肪細胞のほとんどが単胞性脂肪細胞なのですが、血液中の余分な中性脂肪をどんどん取り込んで、大きくなっていきます。
大きくなった脂肪細胞の中身は細胞の壁さえもグイグイ引き伸ばし、最終的には元の大きさの約3倍まで大きくなります。

脂肪細胞が限界まで大きくなると

脂肪細胞も細胞ですので、細胞分裂し、脂肪細胞の数も増加します。
増加した結果、更に脂肪を貯めこむことができるようになります。
どんどん貯めこめる体になれるってことですね。

 

蓄えた脂肪はいつ使われる?

安静時や強度の低い運動時に、脂肪は使われます。

脂肪からエネルギーを得るときには、貯めこんだ中性脂肪を細胞内リパーゼによってグリセロールと遊離脂肪酸に加水分解される。
グリセロールは血流にのり、肝臓または腎臓で吸収され、そこでグリセロールキナーゼによってグリセロール3-リン酸に変換される。
肝臓のグリセロール3-リン酸は大部分がジヒドロキシアセトンリン酸 (DHAP) に、その後グリセルアルデヒド3-リン酸 (GA3P) に変換され、解糖系と糖新生回路でエネルギーや糖になる。

 

日本人を含めた黄色人種ではβ3受容体の遺伝子に遺伝変異が起こっていることが多く、熱を産生することが少ない反面、カロリーを節約し消費しにくい。
この変異した遺伝子は節約遺伝子と呼ばれています。

この節約遺伝子はダイエットの大敵!!
ですが、致し方ありません、我慢するしかないです。

 

なぜ人は脂肪を蓄えるのか?

人のご先祖様は現在のチンパンジーやゴリラに近い生活をしていました。
そのため、食糧事情は安定していませんでした。
そのため余分なエネルギーを摂取した際は、それを脂肪として蓄えるようになっていました。

天候などの状況で飢えに晒されたご先祖様の仲間はバタバタと餓死したでしょう。
でも、その中でも生き抜いた集団がご先祖様です。
ご先祖様は狩りや食物採取に優れていた一方、飢えに強い体を持っていたのでしょう。
そんなご先祖様のおかげで、現在我々も存在しています。

飢えの時期を乗り切るために人は脂肪を蓄えるのです。

 

飢えに強い体とは?

飢えを乗り切るためには少量のエネルギーを効果的に使う必要があります。
食物は時期によって多く収穫できたり、少ししか収穫できなかったり、安定していません。
食物を貯めこめる冷蔵庫や倉庫が有れば、そこに貯めておけるかもしれませんが、それもありません。

脂肪(エネルギ-)を貯めこむ能力

そこでご先祖様たちは、体内に脂肪として貯めこむ能力を高めていきました。
少しでも余分なエネルギーが出たら、脂肪として貯めるのです。

少量のエネルギーで効率よく生き残る能力

いくら上手く蓄えても、消費が多くては貯まりません。
貯めると同時に少量のエネルギーで効率よく動ける能力も高めていきました。

飢えに強い体とは、脂肪を効率よく貯め、効率よく使うことのできる体です。

 

現代人においては?

この飢えに強い体を先祖に持った我々は、脂肪を貯めこむ優秀なシステムを獲得していると言えます。
また、逆に少ないエネルギーで効率よく生きていけるシステムも併せ持っている可能性が高いです。

脂肪を貯めこむ能力で肥満になりやすく、効率の良いエネルギー消費で肥満を維持できます。

 

現代社会ではかなり迷惑な能力

でも、現代の食べ物が溢れている社会においては、このシステムはかなり迷惑なものです。
我々は常に美食という名のエネルギーの過剰摂取に晒され、仕事と言う長時間を拘束され運動不足の状態になっています。

この飢えに強い体をご先祖様に感謝しつつ、常に健康を意識し、ダイエットを心掛ける必要があります。

 

グリコーゲン

グリコーゲン

グリコーゲンとは、Wikipedia によると「グリコーゲン (glycogen) あるいは糖原(とうげん)とは、多数のα-D-グルコース(ブドウ糖)分子がグリコシド結合によって重合し、枝分かれの非常に多い構造になった高分子である。」だそうです。

化学的で良くわからないので、少し違う見方をすると、無酸素運動時に使われるエネルギーのことです。
無酸素運動は既に知って居ると思います。
短時間の間だけ、全身を激しく活動させられる運動のことです。
敵から逃げる、敵を追う、獲物を追う、重い物を一気に動かす、速く目的地に移動するなど、短時間だけど最高のパワーをだすことができます。

で、無酸素運動にも「クレアチンリン酸」を使う場合(100m走など)と、「グリコーゲン」を使い場合(400m走など)が有ります。
「クレアチンリン酸」を使う場合はパワーが10秒も持続できないと言われています。
「グリコーゲン」を使う場合はパワーが10秒~70秒くらい保つと言われています。

グリコーゲンの使われ方

グリコーゲンは無酸素運動時に使われます。
その時の使われ方は、乳酸系の代謝経路で使われます。

乳酸系の代謝経路では、グリコーゲンやブドウ糖からブドウ糖6リン酸を作り、ブドウ糖6リン酸がピルビン酸になるときにエネルギーを生成します。
ですが、ピルビン酸の状態だと体に貯めにくいので、乳酸の状態で保存されます。
グリコーゲンの分解は、アドレナリンまたはグルカゴンに刺激されて、グリコーゲンが蓄えられている筋肉と肝細胞で起こります。

また、科学的で良くわかりませんね。
まぁ簡単にグリコーゲンは乳酸とエネルギーになると思いましょう。

 

グリコーゲンは体内にどのくらい有るの?

グリコーゲンを使った無酸素運動時はたったの70秒しか持ちません。
そんなにグリコーゲンは体内に少ないのでしょうか?

肝細胞は、食後直後に肝臓の重量の8 %(大人で100-120 g)までのグリコーゲンを蓄えることができると言われています。
また、骨格筋中でもグリコーゲンは骨格筋重量の1-2 %程度の低い濃度でしか貯蔵できないものの貯蔵することができます。

これらを考慮するともちろん体格差も有りますが大人で300g前後のグリコーゲンを蓄えることができそうです。

ちなみに、肝細胞では、グルコース-6-リン酸を解糖系で消費することもできるし、グルコース-6-ホスファターゼでリン酸基を除去してグルコースにした上で血流に放出することもできます。
要は他の臓器や筋肉にエネルギーを渡すことができると言うことです。
筋肉細胞は貯めたグルコースは自筋肉でしか利用できません。

肝臓で蓄えたグリコーゲンを使えば、もっと長く無酸素運動が出来るように思いますが。。。

 

乳酸系無酸素運動はなぜ短い?

肝臓で蓄えたグリコーゲンを使えば、もっと長く無酸素運動が出来るように思えませんか?
肝臓に蓄えたグリコーゲンを放出することで400Kcal~500Kcal分のエネルギーを作り出すことができます。

しかし、実際そうはいきません。
皆さんご存知の通り、疲労困憊になり動けなくなりますよね。

なぜ疲労困憊になるかはっきりわかりませんが下のように言われています。

運動を行うとATPを消費して、エネルギーを得ます。
ATP+H2O→ADP+H3PO4となるときにエネルギーを放出します。
この時に「リン酸」が作られます。
この「リン酸」はカルシウムと結合しやすく、カルシウムがリン酸と結合してしまうと筋収縮に必須のカルシウムの働きが悪くなる。これが疲労の原因の一つと考えられています。
カルシウムは本来筋小胞体に貯められ、筋小胞体から出ることで筋肉は収縮し、筋小胞体に戻れば筋肉は弛緩する

この他に、カリウムイオン K+と乳酸も疲労に関わる重要な物質と考えられています。
筋肉を動かすための電気刺激のためには、ナトリウムイオンNa+とカリウムイオン K+が必要になります。
平常の細胞内のカリウムイオン K+は細胞膜の内側に多く存在するのですが、運動を繰り返すことでカリウムイオン K+が滲出し細胞外で濃度を上昇させます。
その蓄積したカリウムイオン K+ が筋肉疲労の鍵物質であることが Nielsen らによって報告されました。
Nielsen らの研究では、K+ の添加により筋力を弱められたラットヒラメ筋に、乳酸やプロピオン酸を添加すると筋力の回復が観察されたそうです。
2004年の Pedersen らの報告でも、pH が小さいときに塩化物イオンの細胞透過性が落ちることが示され、アシドーシス(乳酸によるH+放出)に筋肉疲労を防ぐ作用があることが示唆されています。

酸素が不足する激しい運動下では、体内に貯められたグリコーゲンの全てを上手く使い切ることができないようです。
しかし、筋肉のパフォーマンスは落ち、激しい運動が続けけられなくなります

 

有酸素系代謝経路と組み合わせる

人は無酸素運動時でも呼吸をしています。
呼吸をすることで有酸素系代謝経路からもエネルギーを作ります。

マラソンなどの長時間の運動を行う際には、乳酸系の代謝経路と有酸素系の代謝経路を組み合わせることで、体内に貯められたグリコーゲンを上手く使い、2時間以上の間、無酸素運動のパワーを使うことができると考えられています。
例えば、乳酸系の代謝経路を最大のパワーで引き出すのではなく持続可能なペースのパワーで引き出し、そこに有酸素の代謝経路のパワーを足すことで運動パフォーマンスを上げる考え方です。

トップアスリートの世界では、競技に合わせて最高のパフォーマンスが出せるように、トレーニングや試合中のペース配分を考えています。
逆にダイエットを行うのに自身に最適なトレーニング方法も有るはずです。
グリコーゲンを使った乳酸系の代謝経路の特徴を考慮したトレーニングを行ってください。

 

以上、「グリコーゲン」の説明でした。