脂肪
ダイエットの観点から見た脂肪を説明します。
人が蓄える脂肪とは
まず、脂肪のカロリーは9kcal/gであり、炭水化物、タンパク質の4kcal/gよりも単位重量あたりの熱量が大きく貯めこむのにコンパクトに済み便利です。
食物から直接摂取した脂肪も、体内で炭水化物から合成された脂肪も、肝臓や脂肪組織に貯蔵されます。
肝臓や脂肪組織には、脂肪細胞が有りそこに中性脂肪として貯めこみます。
脂肪細胞
脂肪細胞は、細胞内に「脂肪滴」という中性脂肪を貯蓄する袋を持ち、単胞性脂肪細胞(白色脂肪細胞)と多胞性脂肪細胞(褐色脂肪細胞)とに分類されます。
単胞性脂肪細胞は、体内に約250-300億個存在すると言われ、脂肪の吸収に特化した細胞です。
多胞性脂肪細胞は、首や肩甲骨のまわりなど、体のごく一部にしかありません。また褐色脂肪細胞は乳幼児に比較的多いものの、成長するにつれて少なくなるとされています。
脂肪細胞のほとんどが単胞性脂肪細胞なのですが、血液中の余分な中性脂肪をどんどん取り込んで、大きくなっていきます。
大きくなった脂肪細胞の中身は細胞の壁さえもグイグイ引き伸ばし、最終的には元の大きさの約3倍まで大きくなります。
脂肪細胞が限界まで大きくなると
脂肪細胞も細胞ですので、細胞分裂し、脂肪細胞の数も増加します。
増加した結果、更に脂肪を貯めこむことができるようになります。
どんどん貯めこめる体になれるってことですね。
蓄えた脂肪はいつ使われる?
安静時や強度の低い運動時に、脂肪は使われます。
脂肪からエネルギーを得るときには、貯めこんだ中性脂肪を細胞内リパーゼによってグリセロールと遊離脂肪酸に加水分解される。
グリセロールは血流にのり、肝臓または腎臓で吸収され、そこでグリセロールキナーゼによってグリセロール3-リン酸に変換される。
肝臓のグリセロール3-リン酸は大部分がジヒドロキシアセトンリン酸 (DHAP) に、その後グリセルアルデヒド3-リン酸 (GA3P) に変換され、解糖系と糖新生回路でエネルギーや糖になる。
日本人を含めた黄色人種ではβ3受容体の遺伝子に遺伝変異が起こっていることが多く、熱を産生することが少ない反面、カロリーを節約し消費しにくい。
この変異した遺伝子は節約遺伝子と呼ばれています。
この節約遺伝子はダイエットの大敵!!
ですが、致し方ありません、我慢するしかないです。
なぜ人は脂肪を蓄えるのか?
人のご先祖様は現在のチンパンジーやゴリラに近い生活をしていました。
そのため、食糧事情は安定していませんでした。
そのため余分なエネルギーを摂取した際は、それを脂肪として蓄えるようになっていました。
天候などの状況で飢えに晒されたご先祖様の仲間はバタバタと餓死したでしょう。
でも、その中でも生き抜いた集団がご先祖様です。
ご先祖様は狩りや食物採取に優れていた一方、飢えに強い体を持っていたのでしょう。
そんなご先祖様のおかげで、現在我々も存在しています。
飢えの時期を乗り切るために人は脂肪を蓄えるのです。
飢えに強い体とは?
飢えを乗り切るためには少量のエネルギーを効果的に使う必要があります。
食物は時期によって多く収穫できたり、少ししか収穫できなかったり、安定していません。
食物を貯めこめる冷蔵庫や倉庫が有れば、そこに貯めておけるかもしれませんが、それもありません。
脂肪(エネルギ-)を貯めこむ能力
そこでご先祖様たちは、体内に脂肪として貯めこむ能力を高めていきました。
少しでも余分なエネルギーが出たら、脂肪として貯めるのです。
少量のエネルギーで効率よく生き残る能力
いくら上手く蓄えても、消費が多くては貯まりません。
貯めると同時に少量のエネルギーで効率よく動ける能力も高めていきました。
飢えに強い体とは、脂肪を効率よく貯め、効率よく使うことのできる体です。
現代人においては?
この飢えに強い体を先祖に持った我々は、脂肪を貯めこむ優秀なシステムを獲得していると言えます。
また、逆に少ないエネルギーで効率よく生きていけるシステムも併せ持っている可能性が高いです。
脂肪を貯めこむ能力で肥満になりやすく、効率の良いエネルギー消費で肥満を維持できます。
現代社会ではかなり迷惑な能力
でも、現代の食べ物が溢れている社会においては、このシステムはかなり迷惑なものです。
我々は常に美食という名のエネルギーの過剰摂取に晒され、仕事と言う長時間を拘束され運動不足の状態になっています。
この飢えに強い体をご先祖様に感謝しつつ、常に健康を意識し、ダイエットを心掛ける必要があります。