アディポサイトカイン
アディポサイトカインとは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質の総称のことです。アディポネクチンやレプチン、 TNF-α や遊離脂肪酸などが含まれています。
またアディポサイトカインは、その分泌物の特性から「善玉」と「悪玉」に分けられます。
脂肪組織からは、いろいろなアディポサイトカイン(生理活性物質)が分泌されています。健康な人の脂肪細胞からは「善玉アディポサイトカイン」が多く分泌されますが、 肥大化 した脂肪細胞は 「善玉アディポサイトカイン」が減少し、「悪玉アディポサイトカイン」が多く分泌されるようになり、 分泌異常を引き起こしていると考えられています。
善玉アディポサイトカイン
健康状態を良くする働きがあると考えられている 生理活性物質。
※レプチンに関しては善玉に入れて良いのか疑問が残りますが、Wikipediaを見ると善玉に入っているので、とりあえず今は善玉の方に入れておきます。
- アディポネクチン
- レプチン
[ アディポネクチン ]
アディポネクチン は、アディポサイトカインの中でも血中に最も多く存在しています。働きとしては抗動脈硬化作用などですが、内臓脂肪が蓄積した患者ではその分泌量が低下することがわかっています。
効果は、「動脈硬化」「脳卒中」「心筋梗塞」「糖尿病」「高脂血症」「高血圧」の予防改善、「抗がん」作用などが挙げられているので、減少するとこれらの効果も減少すると考えられます。
[ レプチン ]
レプチンは、満腹になったよと言うサインを送って食事を制限したり、交感神経系を刺激し活発にすることでエネルギーを消費増大をもたらします。
「肥満の抑制」や「体重増加の制御」や「食欲」と「代謝」の調節を行っています。
ところが、肥満状態が続き、ある程度以上になると、レプチンの効果が薄くなってきます。これをレプチン耐性といいます。 レプチンに耐性がついてしまうと、いくら食べても満腹感が得られなくなってしまいます。
そのうえ、増加したレプチンは今度は高血圧を引き起こし、生活習慣病の原因になってしまします。
悪玉アディポサイトカイン
分泌量が多くなると、健康状態を悪くする働きがあると考えられている 生理活性物質。
- TNF-α
- 遊離脂肪酸
- インターロイキン-6
- MCP-1
- アンジオポエチン様タンパク質-2(Angiopoietin-like protein 2、Angptl2)
- プラスミノゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI-1)
TNF-αは、細胞接着分子の発現やアポトーシスの誘導、炎症メディエーターや形質細胞による抗体産生の亢進を行うことにより「感染防御」や「抗腫瘍作用」なのど良い面にも関与するが、TNF-α が増えることで「関節リウマチ」「乾癬」「糖尿病・高脂血症」「敗血症」「骨粗鬆症」などの疾患の発症を招くようになります。
遊離脂肪酸は、脂肪組織から血液に放出され、エネルギーの源として活用される重要な脂肪分です。
血液中にある遊離脂肪酸が多すぎてエネルギーとして利用されず余ってしまう場合は、中性脂肪として脂肪組織に蓄えられています。更にそれでも血液中の遊離脂肪酸が多すぎると、高脂血症になったり、インスリンが効きにくい状態にしてしまいます。
また遊離脂肪酸は肝臓で、脂肪からブドウ糖(血糖)を作り出す働きによって、血糖値を維持する働きも行います。
適切な量であれば全く問題ないのですが、多すぎると「高脂血症」や「糖尿病」などの疾患の発症を招くようになります。
インターロイキン-6が顕著に増加した場合、「関節リウマチ」をはじめとして多くの「自己免疫疾患」の発症に関与すると考えられています。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームに関する研究が進み、脂肪組織は様々な生理活性物質を分泌する内分泌組織であることがわかってきました。
そして健常人の脂肪細胞からは善玉アディポサイトカインが正常に分泌されているのですが、脂肪の蓄積により脂肪細胞の肥大化が生じると機能異常を引き起こし、善玉アディポサイトカインが分泌が減少し、悪玉アディポサイトカインが多く分泌されるようになることがわかって来ています。