ココナッツオイルの抗菌作用について

ココナッツオイルの抗菌作用についてちょっと調べたのでその報告です。
『ココナッツオイルを摂取すると抗菌作用が有って、いろいろな菌から体を守ってくれる』みたいな趣旨の説明があります。

それはどこまで本当なのでしょうか?

ココナッツオイル抗菌作用について

カプリン酸構造図もともとココナッツオイルに含まれるカプリル酸やカプリン酸には、抗菌作用が有ると言われており、実際に実験室での試験では抗菌作用が有ると報告されています。

例えばハーブの抽出液が抗菌作用を示しており、その主成分がカプリン酸が作用していることが報告されています。

そのことから更に踏み込んで他の中鎖脂肪酸も抗菌作用をもつか実験され、その効果が有ったことも報告されています。

下に参考で載せた文献には口にできたカンジダ症の治療にも効果有と報告されています。

中鎖脂肪酸の多いココナッツオイルの保存性が高いのは、これらの抗菌作用が働いているからと想像できます。なので保存剤を添加しなくても保存が効きます。

ちなみにカンジダ菌とは、口腔や食道、腸などに住み着いている菌で誰でも持っている菌です。カンジダ菌は強力な菌でなく体調をバランス良く保っていれば、増殖すること無いと言われています。要は疲労やストレスなどで免疫力が低下するとカンジダ菌が増加することで、カンジダ症を引き起こす菌です。

ココナッツオイルを摂取すると菌から体を守ってくれる?

ココナッツオイルには抗菌性が有ると言うことは確からしいですが、それでは体に取り込んだ後も抗菌作用が有るのでしょうか?

『ココナッツオイルを摂取すると抗菌作用が有って、いろいろな菌から体を守ってくれる』と言う趣旨が書いてある多くのココナッツオイル紹介ページが事実なのでしょうか?

ココナッツオイルを論ずるときに、中鎖脂肪酸、ビタミンなど、酵素など、幾つかに分けなくてはなりません。
一つを否定しても、いやいやそこじゃなくて実はビタミンeが効果有るんだよ。
とか、実はねエキストラバージンオイルの酵素が良いんだよ。
となりますので。

中鎖脂肪酸は摂取すると菌から体を守ってくれる?

中鎖脂肪酸は、先に紹介(下の論文)したとおり、抗菌作用があります。そのなかでもカプリン酸は特に強い抗菌作用が期待されています。

この場合、口腔カンジダ症治療と有るように、直接ココナッツオイルが菌に触れる場合は効果が見込まれています。
体内に摂取した場合の効果については、どこにも触れられていません。

体内に取り込まれた中鎖脂肪酸は、小腸吸収細胞に容易に吸収され、分子が小さいことから腸管で毛細血管に吸収され、遊離脂肪酸のまま門脈に入って肝臓へ運ばれ、速やかにエネルギー源となって代謝されます。

これでは、菌から体を守りようがないですね。。。

と言うことで、中鎖脂肪酸を摂取したとこで身体全域に抗菌作用が発生することは思えません。

ビタミンは摂取すると菌から体を守ってくれる?

じゃ、ビタミンは?
ビタミンB1には抗菌作用が有るので、それかも?でも、成分表を見ても0mgです。はい。

ココナッツオイルはビタミンeが豊富と言われています。
でもね、あれれ?
Wikipediaによると、ココナッツオイル100g中にビタミンeは0.09mg入っているそうです。
ちなみにサフラワー油は、27.1mg

これでは、明らかに少ないですね、、、豊富と言っててこの程度では、説明のしようがないですね。

他のビタミンなどについても同じでしょう。

酵素は摂取すると菌から体を守ってくれる?

さて次は酵素ですが。

そもそも酵素が菌から体を守ってくれる?抗菌作用が有る?
どうやら、多様な酵素が有るようで、菌からも守ってくれる酵素も有るようです。

じゃ、酵素が体内でどうなるか?

酵素もタンパク質ですので、胃に入る前なら活動して貰えますが、胃に入っちゃえば酵素ごと消化分解されたり変質してしまうし、胃を通り抜けたとしてもその後は腸の中で活動をするのみで、抗菌作用が有る!と取り立てて騒ぐほど効果は無いようです。

そもそも、酵素の役割は菌と戦うことではなく消化や代謝の触媒になるような働きですので、抗菌作用を求めること自体に無理があるような気がしています。

その前に酵素の体内活動における有効性も甚だ疑わしいところも有りますから。
参考:『Wikipedia 酵素栄養学

結論

ココナッツオイルを摂取してもそれ程の抗菌作用は期待できない。
期待できる箇所は保存時の抗菌作用、食事前の加工時、口、食道くらいでしょうか。体内に入るとほぼ期待できないと思います。

上の論旨が違う場合、指摘とともに参考文献を教えてください。よろしくお願いします。

参考『中鎖脂肪酸カプリン酸の Candida 菌糸形発育阻止作用と 口腔カンジダ症治療効果

ココナッツオイルが脂肪を溶かす!?

ココナッツオイルが脂肪を溶かす!?
オイルイメージ
こんなことが有るって知ってましたか?事実、ココナッツオイルの効果・効能で検索するとその情報が出てくるんです。びっくりです。

ココナッツオイルが脂肪を溶かす!?

実際のところはどうなんでしょうか?
普通に考えると『有り得ない話』ですよね。

でも、一応検討してみましょう。
ここで例に出すココナッツオイルは一般的なエキストラバージンオイルです。

ココナッツオイルの主成分はオイル・油です。
オーガニックココナッツオイル成分表2_2この表はココナッツオイル100gに対して、どのような成分が含まれているかをしてしています。

まず脂質100gと有るので、全部油です。

脂質のうち、飽和脂肪酸が89.5g。
ここに記載されていませんが、不飽和脂肪酸が入っています。
飽和脂肪酸のうち、62gが中鎖脂肪酸、更に47.1gがラウリン酸です。
特に変わった成分が有るというわけではなさそうです。

では、何が脂肪を溶かすのでしょうか?
そもそも、脂肪って言ってるけど、脂肪って?

溶かされる脂肪って何?

ココナッツオイルで溶かされる脂肪って何でしょうか?

私の見たページではダイエットのことが中心に書かれているので、素直に考えれば体脂肪もしくは内臓脂肪ですよね?

体脂肪や内臓脂肪をどうやって溶かすのでしょう?
なにかとてつもないメカニズムを持っているのでしょうか?

何が脂肪を溶かすのでしょうか?

溶かすとは、砂糖や塩が水に溶けるのと原理的には同じことだと思います。

それか、ココナッツオイルの何かの成分が体脂肪や内臓脂肪に働いて、脂肪を分解する?
これに類するようなものは緑茶のカテキンのようなものが有りますが、ココナッツオイルでは聞いたことがありません。

と言うことは、やはり砂糖や塩が水に溶けるのと同じように、脂肪を溶かすということなのでしょう。

酵素が溶かす?

脂肪を分解する酵素に、リパーゼというものが有りますが、そのような酵素が含まれていることで、脂肪を溶かすと言っているのでしょうか?

それなら、まだ、わからなくもないですが、それは消化しやすくしますが、ダイエットとは関係ないですよね?多少は関係あるかも。。。

それに、酵素もタンパク質ですので、胃に入る前なら活動して貰えますが、胃に入っちゃえば酵素ごと消化分解されたり変質してしまうし、胃を通り抜けたとしてもその後は腸の中で活動をするのみで、取り立てて騒ぐほど効果は無いはずです。

酵素信者の方には効果が有るかも。。。
参考:『Wikipedia 酵素栄養学

代謝経路で考える

ココナッツオイルの特徴は何といっても中鎖脂肪酸が多いことです。

一部の酵素信者の方は酵素目当てかも知れませんが、酵素はあくまでも食べ物と同じ経路を辿るだけなので、体脂肪や内臓脂肪に達して何かをしてくれるわけではないです。

中鎖脂肪酸以外の脂質が、もし体脂肪や内臓脂肪を溶かすのであれば、オリーブオイルなどでも同じように言われるはずなので、、、いや、言われてるのかな?
調べてみます。

ざっと検索してみましたが、オリーブオイルが脂肪を溶かすという記述は簡単には見つかりませんでした。
なので、脂肪を溶かすと謳っているのはココナッツオイルだけみたいですね。

で、オリーブオイルや他のオイルはそのように謳ってないので、中鎖脂肪酸がキーのようです。
では、中鎖脂肪酸はどのように体内で代謝されるのでしょうか?

ご存じのとおり、中鎖脂肪酸は代謝の早い脂肪酸です。
炭素数が8~12の中鎖脂肪酸は、小腸吸収細胞に容易に吸収され、分子が小さいことから腸管で毛細血管に吸収され、遊離脂肪酸のまま門脈に入って肝臓へ運ばれ、速やかにエネルギー源となって代謝されます。

あれ?この過程でどこに脂肪を溶かす効果・効能が期待できるのかな?

結論

ココナッツオイルが体内で脂肪を溶かすことは無いでしょう。
宣伝も過ぎると痛いですね、、、商魂が逞しいというか。。。

「体内 オイルクレンジング」なる言葉があって、脂を油で溶かすと書いてあるのですが、そのページを見てココナッツオイルが脂肪を溶かすに繋げているようです。。。どこかで見かけた宣伝文句をさも真実のように謳うページも多く、ちょっと考えて欲しいですね。
仮に真実ならその根拠を示す参考文献などを挙げて欲しいです。
ココナッツオイルが脂肪を溶かすと語っているページの出典は下のページが多いようです。
油を飲んで体重マイナス10キロ、体内オイルクレンジング(2)

ちなみに、普通のオイルクレンジングは皮膚を洗浄することに使われてますよね。混同しないようにしましょうね。

みなさんも感覚的にわかると思いますが、「人は油を飲んでも体内のクレンジングはされません」よ。
体を壊すだけなのでやめておきましょう。

参考:『Wikipedia 酵素